GIGAスクール構想に必要なデジタルシチズンシップの学び
スクールガーディアン事業部の渡邊です。
私たちは、「子どもたちが健全にインターネットを使える環境を目指して」という事業ミッションを掲げ、ネットいじめ対策、ネットリテラシー講演、ICT教育プログラムなどを通じて、学校関係者をトータルにサポートするコンサルティングサービスを提供しています。その中でもネットリテラシー講演は、学校からの要望で内容をカスタマイズして行っている点が特徴です。
インターネットやSNSが身近に当たり前にある世の中で、スクールガーディアンとしてはそうしたデジタル機器を活用する上で気をつける点、実際ネット絡みの問題はたくさん起きていますので、トラブルに遭わないため、加害者にならないためには、どのようにSNSを活用していけばよいかを伝えています。
GIGAスクール構想が始まってからの教育現場の変化。使うことへの抑制から積極的な活用へ
ここ半年程、危険性についてもですが、「SNSやインターネットを使うよい面を伝えてほしい」という内容の講演依頼が増えてきました。
これはGIGAスクール構想により、学校で1人1台デジタル端末を配布していることに関係しています。これまで学校側では、講演の場でネットの危険性を強調して伝え、使用を抑制する傾向があったのですが、最近はインターネットのよい面を伝えて生徒にICTをいかに「活用」してもらうかということにシフトしてきています。
そのために学校でも端末を導入したり、教職員がネットの使い方を校内で研修したり、資格を取得するなど、教える側もICT活用と知識の向上に奮闘されている時期だと感じています。
デジタルシチズンシップとは
GIGAスクール構想での「ICT活用」という教育の流れにおいて、「デジタル機器を適切に使いこなし」「デジタルを用いて社会に参加し貢献していく力を養う」、すなわちデジタルシチズンシップの学びが必要になってきています。
責任のあるデジタルの使い方
デジタルを用いた社会への貢献の仕方
を日常的に学び考え、デジタルを用いて自分が住んでいる地域や社会を良くしていく市民というのがデジタルシチズンシップの考え方です。
子どもたちには、デジタルの危険性や問題を理解してもらった上で、その可能性や有効な使い方について考え、実践していくことが求められています。
現在、生徒が課題を端末から提出するという学校が増えてきているので、機器の使い方はもちろん、デジタル社会で生きていく上での危険性や問題といった知識を学ぶことも必要ですし、そうした知識を備えた上で、それをどのように用いて地域社会に貢献していくのかを学ぶことも大切になってきているのです。
デジタルシチズンシップ5つの要素
デジタルシチズンシップには、DigCitCommitが提唱している5つの要素があります。
インクルーシブ
多様な視点に対してオープンであり、オンライン上の人々を尊重し共感している
情報力
デジタルメディアの正確性、妥当性を評価している
活動参加
市民活動にテクノロジーを用いて問題解決や社会のためによいことをする
バランス
オンラインとオフラインでの時間と活動のバランスをとって、優先順位をつけている
アラート
自分の安全を確保し、オンライン上の人々に対しても安全な場所を作る方法を知っている
これら5つの要素を学んでいくために、Common Sense Educationが公開しているカリキュラムの中から、2つのポイントに着目したいと思います。
メディアバランスとコミュニケーション
メディアバランス
オンラインとオフライン、つまり使うときと使わないときのバランスを考えて利用していきましょう、ということを提唱しています。
時間的なことも気持ちのバランスも、両方大切です。
時間的なバランスは、人それぞれ異なるものなので、例えば2時間ネットを使用しても問題ない人もいれば、同じ時間を使って体調を崩してしまう人もいます。
気持ちのバランスという面では、オンライン上でのコミュニーケーションが長く続くと疲れたりすることもあれば、オンラインに投稿した内容にネガティブな反応があると感情が落ちてしまうこともあります。
メディアバランスでは、「その人にとってのバランス」を一人ひとりが考えていくことが大切です。
同時に、ネットを使う上での健康面についても言及しています。機器は明るい場所で適切な距離をとって使用するなど、健康に与える影響についても知識としてもっておくことが大切なポイントです。
オンラインでのコミュニケーション
友だちや周りの人とのコミュニケーションにネットをどのように活用しているでしょうか。
デジタルで発信していることで、サポートされて励ましてもらうこともあれば、文字でのやりとりから行き違いが生じることでトラブルになることもあります。
このようにメリット・デメリットがある中で、オンラインでのコミュニケーションではどのようなことに気をつけたら良いか、どのような工夫が必要なのか、ということを考えてみましょう、と問いかけています。
つながりを望み、対話を育もう
デジタルシチズンシップをテーマにした講演では、私たち講師からいわゆる答えのようなことを教えるのではなく、生徒に様々な問いかけをしてオンライン上でのコミュニケーションを考えてもらっています。
オンライン・オフラインのバランスを考えましょう
つながりを望むようにしましょう
一方的に投げつけるのではなく、対話をしていきましょう
(知識を伝えた上で)あなたはどう考えますか?
今日のポイントを聞いて、これからどう使っていきますか?
そんな問いかけをしています。
「つながりを望む」
これは、ジャーナリスト伊藤詩織さんの記事からヒントにした言葉です。
ネットは匿名でのやり取りが可能だと思ってしまい、一方的に投げつけるコミュニケーションが発生しやすいものです。
相手を傷つける言葉を送ったり何回も送信してしまうなど、相手の状況を想像していないためのトラブルが多く発生してしまいます。
一方的な発信で終わるのではなく、発信をして、それを受け取った相手からの反応がある。
このような「対話」をつくりあげ「つながり」を育んでいくことが大切です。
スクールガーディアンでは、子どもたちが責任を持って安全安心してデジタルを活用することができるように、引き続き講演を通して支援をしていきたいと思います。
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