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自分が親になって改めて感じる想い。 ~子どもたちが健全にインターネットを活用するために、 今、伝えたいこと~

コロナ禍において、働き方や生き方、世の中が大きく変わってきています。
それは、大人だけではなく、子どもたちの日常や学校生活も以前に比べ変わっているように感じます。
学校で顔を合わせる機会が減ったり、中には黙食で誰とも話さずに日々過ごしているなかで、悩みを抱えたまま苦しんでいる児童生徒が増えているのかもしれません。

今回は、2015年からスマートフォンで第三者が匿名でいじめ連絡ができる「スクールサイン」(旧「Kids’ Sign」」)のプロダクトオーナー鈴木 慎也さんに、本サービスの生みの親としての想いや利用環境の変化に伴い、保護者の方々へお伝えしたい事、今後の展望などに迫ります。


本日はよろしくお願いします!

鈴木さん(以下、鈴木):よろしくお願いします。

まず、スクールサインとは、どのようなサービスですか?

鈴木:はい、児童生徒がスマートフォンやパソコンから、いつでも匿名でいじめの目撃情報などを連絡できるWebサイトです。
クローズドなメッセージアプリやSNSなど、外から見えないところで起こっているネットいじめなどの連絡を24時間匿名で受け付け、その情報を自治体を通じて学校に届けるサービスです。

スクールサイン

なるほど、子どもだちが身近に些細な事を発信できる匿名サービスなのですね。2015年にスタートしたサービスとのことですが、当初の苦労した事があれば教えてください。

鈴木:最初は、まず知っていただかないと意味がない。という思いから、試験的に導入いただける自治体や学校を探しました。サービスをリリースした背景や趣旨、効果を説明し、まずは無料で利用してもらうところからスタートしました。
ただ、実際のところ、なかなか広がらず、営業計画もうまく続かない時期が続いていました。

そんな時期もあったのですね。現在の導入している学校はどれくらいあるのですか?

鈴木:現在は、全国の小中高で300校程です。

そんなに、増えたのですね!何か、きっかけなどあったのでしょうか。

鈴木:はい、影響が大きかったと感じているのは、2017年に熊本県が試験導入としてモデル校3校に対して、県ではじめて導入して頂けたことだと感じています。また、それが熊本県発信のニュースでも取り上げてくれた事により、本サービスの認知度が高まりました。

また、2017年度に文部科学省のいじめ防止対策協議会の下に「SNSを活用したいじめ等に関する相談体制の構築に係るワーキンググループ」が発足され、電話に代わるいじめの相談窓口を検討する活動に、スクールサインの提供事業者として、年間計5回の会合に参加させてもらったんです。結果として、スクールサインのような一方向相談の窓口も、国の補助事業の対象となり、全国の自治体に展開される動きができた事も大きかったと感じています。

凄いですね!サービスが拡大していく中で、子どもたちから届く声の内容に変化があったりしたのでしょうか?

鈴木:そうですね。実は、2019年4月より中高生にも利用していただきやすいように名称やデザインなど、サービスをリニューアルしまして、その際に「ひとりで悩む仲間をひとりでも助けるために」というキャッチコピーを決めたんです。また、利用シーンを紹介するページも追加し、悩みのある当事者だけではなく、周りで起きている心配ごとを連絡するケースを例示し、自分自身が被害にあっているわけではなくても、よりこのサービスを思い出してもらえる工夫が出来たと思っています。
なお、本人からの被害申告ではなく、第三者からの情報提供の割合も2019年度よりも2020年度の方が増えた傾向にあります。

スクールサイン

子どもたちの活用方法に変化はみられましたか?

鈴木:そうですね、コロナ関係なく、年々、届けられる声は増えています。
明らかにいじめに該当するような内容ではなくとも、例えば「友達が部活にこない日が続いている」という内容や「同じクラスの子の表情が浮かない」といった心配の声など、様子の変化を表すような内容もでてきている。
まさに、このサービスはこうありたいと思い、打ち出したものだったので、そのような活用シーンが増えている事は嬉しいことではあります。

実際に、投稿内容の分類なども紹介しているので、こちらを参照ください。

特に、休校が続くような時期は、先生方も表情の変化が見えづらく、このサービスによって、子どもたちの変化をキャッチする事につながっていそうですね。

鈴木:はい、そうだと嬉しいですし、傍でお子様を見ている保護者の方から報告いただいても大丈夫です。これまでもありました。

え!いいのですか?それはなんだか心強いですね。

鈴木:このサービスは、声を学校に届けるものなので、保護者の皆さまから、子どもたちの変化や不安な事を学校に伝えていただいても良いと思っています。

そういえば、このサービスを始められた後に、お子様が生まれたのですね!
鈴木さん自身、何か、サービスへの想いに変化がありましたか?

鈴木:はい、変化はあったと感じています。
娘はまだ小さいので保育園でお友達に噛まれて帰ってくる事があるのですが、自身でも驚く程に、憤る感情が込み上げてきます。仕方ないと頭ではわかっていてもです。ここまでの感情は、子を持つまではなかったように思うんです。スクールサインに寄せられる内容をみて、心がざわついたり、いたたまれない気持になることも多々あります。

これまで、いろんな場で、いじめの被害者の方や遺族の方の声を耳にしていきましたが、これまで以上に被害にあう子どもたちを増やしてはいけない。という意識がさらに強くなりました。

保護者の方々へ、お伝えしたいメッセージはありますか?

鈴木:そうですね、このサービスは、たとえ些細な事であっても、子どもたちの様子や変化を届けてもらうものです。
子どもたちの些細な変化に保護者の皆さまが気づいた場合は、子どもたちが安心してコミュニケーションが図れるよう会話をして欲しいなと感じます。とはいっても、多感な時期の子どもたちにとっては複雑な事も多いです。
学校や友達との間で何かが起きていそうだと感じた場合は、保護者の皆さまも是非、このサービスで声を届けてもらえたらと感じます。


それでは最後に。
今後、どのようなサービスにしていきたいか、想いをお聞かせください。


鈴木:そうですね、2点あります。
1点目は、中学一年生にあがる時に環境や友だちの変化によって、不安に思う子どもたちが多いと感じているので、より小学校中学校を対象に活用いただけるよう働きかけていこうと考えています。

あの子様子がおかしいかもしれない。をもっと気軽に伝えてほしい。心配しあう風土をもっと作り、小さな変化ももっと出してほしい。いわゆる傍観者が減る事で、大きな事案に発展するいじめの問題の抑止につながると信じています。

そして、2点目は、その些細な変化の内容を受け取る学校様との連携です。どんなに子どもたちが声を届けていても、指導方法や声がけが間違った方にいってしまうと、声を届けてもらえなくなる。
このサービスの目的を今一度、学校の先生方と共に考え、見つめ、より必要とされるサービスにしていく事が大切だと考えています。

鈴木さん、ありがとうございました!

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