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スタートアップのこれまでとこれから【連載第2回】

みなさんこんにちは。アディッシュnoteです。

今回は弊社の取締役である松田光希のロングインタビュー連載第2回をお届けしたいと思います。

弊社松田は、2015年4月に株式会社ガイアックス入社後、経営管理部M&A担当を経て、同年10月にガイアックス子会社の株式会社GXインキュベートを設立、代表取締役社長就任。ベンチャーキャピタリストとして多数の出資を実行した後、2018年9月よりアディッシュ株式会社へ参画、という異色の経歴の持ち主!
VCとして活動してきた経験から、スタートアップのこれまでとこれからのお話を聞いてまいりました。
ぜひお楽しみください!

第1回の記事はこちらから!


〜前回のつづき〜

坂本:3年ぐらい代表取締役を務められた後はどんな感じだったんでしょうか?

松田:そうですね。2015年10月にGXインキュベートを立ち上げ社長になって、そこから10数社くらい出資を行いまして、3年半くらいはずっと出資先のスタートアップの支援をやっていました。

基本的にベンチャーキャピタリストやコーポレートベンチャーキャピタルなど、いわゆるキャピタリストの仕事は出資することと、出資した後にハンズオン支援みたいな感じで色々なことを手伝うことのと、大きく分けて二つあるんですけれども、出資すること自体はファンドの規模がそんなに大きくなかったのであまり沢山なくて、どちらかというと出資した後にその社長と、例えば月に1回とか会って、経営管理領域のバックオフィス支援をしたり一緒に営業をやったりとか、場合によっては1年くらいスタートアップの中に常駐して、ずっと一緒にフルタイムの経営メンバーの1人みたいな感じであらゆることをやったりとかしてましたね。

営業チームを組成してみんなで営業したりとか、オフィスが手狭になったので新しい部屋借りて電話引いたりとか、そういうこともやってました(笑)

坂本:なんでも屋さん的な。

松田:そうですね、基本的に全部やってましたね。

フィールドセールスもやってましたし、カスタマーサポートでメールも電話もやってましたし、全部本当なんでも屋さんって感じです(笑)

坂本:すごいですね。でも営業やCSを専門でやってきたわけじゃないじゃないですか。
投資をして、その会社が大きくなるため、うまくいくためにやれることは全部やってきたって感じですか?

松田:そうですね。でも別に、色々な会社のセールスとかカスタマーサポートとかやってる方々って、多分、すごい専門の人って元々いないという認識でした。

ごく一部の会社に専門家がいるっていう感じだと思うので、そういう意味では結局突破力とかやる気があれば、なんとかなるかな、という気はします。

当時新卒2年目とかだったんで(笑)

坂本:すごいですね。その代表は3年間ぐらいされたんですよね。

松田:そうですね。3年半やりました。

2015年の10月から2019年の3月末までで退任しまして、厳密にいうと2018年の9月にアディッシュにジョインして、みたいな感じですね。

坂本:アディッシュにジョインしようと思ったキッカケというのはあったりするんですか?

松田:そうですね。当時スタートアップの出資をいろいろやっていたので、セールスとかサポートもやってるとはいえ、結構専門がバックオフィスとか経営管理とかそっち側の方に強いっていう感じの人間だったので、それこそスタートアップ側からすると、あと3年くらいでIPOしそうだから、ぜひCFOとして来てくださいみたいな話とかはちょうどその頃からちょこちょこ出始めていて。

もうファンドとしては、基本的にはシード出資をして、最初の1年とか2年は、次のシリーズAへの資金調達に行くまでは、株主が自分含めて数人とかしかいないので結構ハンズオンやることあるんですけど、1回シリーズAとかまでいったら、その後はシリーズAで新しく入ってきたリードの投資家さんが結構支援してくれたりするので、シード投資家ってだんだんやることなくなってくるんですよね。

だからそういう意味では、私も結構暇になってて、なんかこう、すごい暇だったんですよね(笑)

それで、社内でも投資とは別に新規事業部門みたいなのをガイアックス内でやっていたので、新規事業部門担当として通訳マッチング事業とかやってた時期もあったんですが、それもごく一部の時期って感じで。

新規事業やりつつ投資先のハンズオンもたまにしつつも、結構暇だなってタイミングで、ちょうどアディッシュからあと1年か2年後とかに上場が見えてる時期で、ちょっと人手が足りないみたいな。

上場推進できる人が入ったら上場できそう、みたいな話が来たので面白そうだなと感じました。

転職したというか移籍したっていう感じですね。

坂本:なるほど。そしてアディッシュに入ってこられたと。

松田:そうですね。話を聞いて、入って本当にスケジュール通り上場させることができたら、自分としても新しい領域で実力もつけられるし、アディッシュとしてもお互いWin-Winな関係だなっていう理由だったので。

入社した瞬間から上場準備責任者というポジションに就きまして、上場準備責任者って基本的に上場するときの相手として証券会社の担当っていうのと、東京証券取引所の担当者とやりとりする人のことを言うんですけど、そのポジションを任されるという形だったので本当に入社してすぐに全部窓口とかを変えてもらって、資料とかを全部見に行って一気に仕事し始めたって感じでしたね。

坂本:なるほど。アディッシュでは上場の責任者をやられていたんですね。

松田:そうですね。入社した時点で既に上場準備チームは存在していたんですが、ちょうど私が入るきっかけにもなった2018年にそのチームの内何名かが離脱するっていうことがあって、チームが成り立たない状況になっていました。

物理的に人数がいないと上場準備って回らないので、数名離脱したのでそれを埋めるために僕が入るみたいな感じです。

いわゆるIPO準備の仕事って、経営管理体制の整備、みたいに言ったりもするんですけど、要は毎月ちゃんとビジネスがうまくいっていて成長しているだけじゃ駄目で。

ビジネスがうまくいって成長してるだけだったら個人事業主でもできるじゃないですか。

成長していても不正が起きないようにいろいろなチェック体制がなされていたり、決算書や財務諸表を作ったときにそれが正確な会計ルールに則って計上されるよう、適切な承認体制が構築されていたり、例えば従業員とかが不正にクライアントからキックバックをもらわないように、ちゃんとした稟議プロセスが整備されているかとか、色々なところで経営管理体制が適切に作られているか、っていうのを確認していくプロセスがあるんですね。

なので僕が最初に入ってやったのは、いわゆる上場すればこれくらい厳しく整備しなきゃ駄目ですよっていうチェックリストがあるんですけど、当然上場するまで1年以上とかあるとまだ数百個くらいチェックリストが埋まってないので、そのチェックリストを全部埋めていくっていう作業をやってました。

坂本:IPOに必要なチェックリストってそんなに数あるんですね。

松田:そうですね。まあ証券会社によってチェックリストの使い方は違うと思いますけど、感覚としては500種類くらいのチェックリストを埋めるみたいなイメージですね。

チェックリスト1個の重さが、例えば創業してから今日までに開催した全ての取締役会と株主総会の議事録および関連書類が正しく保管されている、くらいの重みが1個ですね(笑)

坂本:気が遠くなってきました・・・。

松田:それ1個だけで何日かかるんだみたいな(笑)そんなリストが500個くらいあるっていう感じですね。

ただ、私が入社した時点で6割ぐらいは終わってたんじゃないですかね。

けれど、6割だと絶対に上場はできないんですよ。

一方で100%にする必要もなくて97、98%ぐらい、ちょっとぐらい粗があっても完璧な会社である必要はないので。

稟議が一件でも漏れたら上場できないかというとそんなことはないんで。

それなりに理由があって、緊急だったから、とか何かしら理由がつけばいいんですけど、要はザルな会社は上場しちゃだめなんです。

7、8割とかでもザルなんですよね、完全に。

例えば、1年間に稟議が1万件とかあって1件だけ漏れてるとかならわかるって感じですけど、1年間で稟議が1万件あって1000件漏れてるってなったら、やばいふざけてんのかって感じじゃないですか(笑)

坂本:確かに。

松田:そういう感じで、そのチェックリストをもとに直さなきゃいけないところを全部洗い出して、これは誰々さんが直していくみたいなのを決めたり、僕がやる場所は僕でやったりしていました。

僕は結構どちらかと言うと予実管理と内部統制の方をメインで見ていました。

予実管理は毎月の月次の予想をぴったり当てるってやつで、年初に立てた予算通り着地させるっていう必要があるんですけど。

アディッシュに入ったときに、アディッシュが使ってる予実管理のスプレッドシートの精度が低くて、この集計方法だと確かに無理だな、と気付いたのでシートをイチから作り直したりしていました。

売上見込みの立て方とかが、何ていうのかな、本人の頭の中に情報はあるけれどスプレッドシートでその情報をうまく吸い上げられていない感じだったので、誤差が減るような集計方法に変えていました。

売上が10%とかずれるともう上場できないんで。

坂本:上振れも駄目なんですよね。

松田:諸説ありますが上振れも下振れも基本的には駄目ですね。

坂本:結構厳しいですね。上場するハードルみたいなのが。

松田:そうですね。

坂本:売上予測が下振れするとネガティブなイメージがつくと思うんですけど、逆に上振れして事業がうまくいってますっていうのですら駄目なんだっていうのが驚きだったのですが。

松田:基本的に上場するということは投資家とコミュニケーションを取るっていうことなんです。

投資家はリスク(ボラティリティ)を嫌うので、儲かればいいんじゃなくて想像した通りの利益を出してほしいんですよ。

株価っていうのは、想像した将来の利益から逆算して付くものなので、今どのくらい儲かってるかじゃなくて、来年とか再来年どれくらい利益を出すかっていうのを逆算して、色々な世の中の投資家が、この会社の適正価格がこれくらいだっていう予想のもと、今は割安だから買うとか割高だから買わないみたい意思決定をしてるので、業績予想を大幅に外すっていうのは投資家はその計算の意味がなくなっちゃうんですよね。

だから上振れしてればいいんじゃないのっていうのはそうでもないっていう感じです。

坂本:だから企業は途中で上方修正とか下方修正とかを出すんですね。

松田:そうですね。あくまで投資家が正しくこの会社が今期どういう着地になるかって予測できるようにメッセージをちゃんと出してコミュニケーションとっていく。

必要以上のサプライズを市場に与えないっていうのが基本的な上場会社に求められていることかなと思います。

坂本:松田さん、今回もありがとうございます。第2回はこちらで終了となります。


第3回はIPO後のお仕事についてお聞きしています。
次回の更新をお待ちください!

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