スタートアップにおけるマーケター像とは
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スタートアップにおけるマーケター像とは

小原:今日は、前職でご一緒していた近内さんにスタートアップにおけるマーケティングについて伺わせていただきたいと思います。改めて近内さんのマーケターとしての経歴を教えていただけますでしょうか!

近内:最初のキャリアは広告代理店の営業から始まり、30歳手前で事業会社のマーケターに転身しました。現在、マーケター歴は15年ほどです。特にBtoB領域には長く携わっていて、2019年末まではベルフェイス株式会社でマーケティング組織の立ち上げや磨き上げ、オペレーションづくりをしていました。

特定の領域に強いマーケターというよりは、マーケティングのジェネラリストとしてマーケティング・マネジメントに取り組み続けてきたのが自分のこれまでのキャリアですね。

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小原:前職時代に採用させていただいたときから、スタートアップというのをキーにされていたかと思うのですが、マーケターとしてスタートアップで仕事をする魅力を教えていただけますか。

近内:大きく分けて三点ありますね。一点目はまだ世に知られていない、良質なサービスを世に広げていくおもしろさ。そして、それを通して多くの顧客の課題解決に貢献できるやりがい。二点目は、そのような状態を実現していくために組織や仕組み、打ち手、オペレーションなどを柔軟に作り変えていく大変さと楽しさ。楽苦しいと自分は言ったりしています(笑)三点目の魅力は、変革を経て組織や人が急速に成長していく様子を目の当たりにできるおもしろさにあると思っています。会社一丸となってサービスや組織を育てて顧客の問題解決を図れるのはスタートアップならではの魅力ではないでしょうか。

小原:ありがとうございます。組織として戦っていく、というのをとても大事にされていますよね。

小原:具体的にマーケティングの話になるのですが、スタートアップのマーケティングではトラクションを掴むのが大事かと思うのですが、そのためのチャネルを探し当てるためには、どのような取り組みをしていくのがよいのでしょうか?

近内:顧客と誠実に向き合って、仮説と検証を繰り返し愚直に行っていくことは不可欠だと思います。本当に試行錯誤の連続です。ベルフェイスを例にとって説明すると、もともとサービスの中にベルフェイスを利用して感動したユーザーのお客様が問い合わせをしやすくする仕組みを組み込んでいました。私が入社する前からその仕組み経由の問い合わせがかなりありましたね。

ただ、入社後は短期間で急成長カーブを描かなくてはならなかったので1か月でデマンドジェネレーションをするための仕組みを作り上げ、CMと連携してマーケティング活動を押し進めていきましたね。「営業は訪問して当たり前」という商習慣をいかに崩し、ベルフェイスが提案する営業スタイルを広めていくか知恵を絞る日々。大変でしたが、本当に楽しかったですね。

小原:ベルフェイスではお客様の利用が次のお問い合わせに繋がっていく、とても良いモデルだと思うのですが、そうなるとバイラル係数を追っていくことになるのかなと。

近内:最初は十分にできていませんでしたが、途中トラクションを増やしていくなかでしっかりとパラメーターを設置して、バイラル係数を追える仕組みづくりをしました。
利用者を増やすための仮説を立てたり、逆にバイラルのみでの成長が鈍化する可能性を探ったりして、トラクションをつかむための意思決定を進めていく取り組みもしていました。

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小原:良いですね。僕は前職ではMarTechを提供していましたが、ユーザーが他の人をお誘いすることができるインセンティブ付きの仕組みをいれたものの、ほとんど紹介されませんでした。一方で自分たちが企画していないところで、ご紹介を受けるケースもありましたし、セミナーなどでご紹介されることもあったりしたんですよね。なかなかBtoBでバイラル係数を追っていくのは難しいので、ベルフェイスは楽しそうだなぁと思っていました。

さて、こうやってスタートアップのマーケティングをしていく上で、最初にどのようなマーケターの方を採用するのが良いのか、という話をたまに聞きます。マーケター募集と出すといろいろな人から応募がありますが、「コンテンツマーケテイングをずっとやってきました」みたいに結構、細かな領域での経験者からの応募が多くなるんですよね。実際のところ、スタートアップの立ち上げ時に求められるマーケターは、どのような人材なのでしょうか?

近内:なかなか難しいご質問ですね。組織が置かれる状況や課題感などによっても変わってくるのではないでしょうか。自分の場合だと立ち上げ時は、経験や専門性があるに越したことはないですが、顧客志向であること、問題発見能力・解決能力があること、フットワークが軽くチャレンジ精神があること、リードを獲得して終わりではなくその後の工程までしっかり意識して仕事に取り組めることをより重要視していました。あとは向上心があって勉強熱心であること。もちろん募集ポジションにもよりますが、これらの要素が少なくともないと「売れ続ける」組織を作り上げることは難しいのではないでしょうか。

ベルフェイスでも最初は、ほぼマーケティング経験のないメンバー中心に立ち上げを行っていましたね。

小原:ありがとうございます。なかなか丸っとやれたりする方は少ないんですよね。。視野の広さが求められるというか。視野といえばこちらもよくある現場に起こりがちな問題として、マーケティングチームとセールスチームで仲が悪くなるというのがあるかと思います。そのあたりをマーケターはどう意識していけば良いと思いますか。

近内:自分の経験で言うと、まず「マーケターの仕事はリードを獲得すること」という考え方をやめることですね。マーケティングの定義は様々ですが、私は「商い」であり、「適切な人に適切なタイミングで適切な情報を届け、態度変容が起きるのを促して購買につなげること」だと考えています。つまり、それを実現するための仕組みづくりや施策の設計がマーケターの役割。そのためにもセールスの隣にいるパートナーとして、同じ売上という目標を追うためにもお互いに腹を割って話ができる関係を日々のコミュニケーションを通して築いていくことが大切だと思います。少なくとも、私はこれまでそれを意識してきました。
やり方はいろいろあります。まずは飛び込んで、セールスと話をして同じチームとなってチャレンジすることをお勧めします。

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小原:目標設定の関係上、どうしても対立しがちですが、議論しながら双方の状況を理解していくのが大事なんでしょうね。そうなるとカスタマーサクセスのためにマーケターが意識すべきところは何かあるのでしょうか?


近内:問題を解決して成果にしっかりつながる(カスタマーサクセス)顧客がどのような方々なのかを定性・定量データなどをしっかりと確認し、社内で共通認識を持つ必要があるなと思いますね。自分たちにとって都合の良い“いない”「理想の顧客」ではなく、事実に基づいて「サクセスできる可能性が高い=長く活用していただける現実にいる顧客」の特徴をしっかり把握する。それを横串をさしてカスタマージャーニーに落とし込み、共通の認識のもと社内の情報共有や議論ができるような状態を作り上げていく。一筋縄ではいかないですし、それに囚われすぎてしまうのも良くないのですが、そのような状態を目指すようにしています。

小原:ありがとうございます。マーケティング〜セールス〜カスタマーサクセス、それぞれが共通した顧客のカスタマージャーニーを描いておくということなんですね。最後にこれまでの近内さんのご経験で、組織の立ち上げからでの成功事例があれば教えていただけますでしょうか。

近内:前述しましたが、私がいつもチーム立ち上げを行う際には専門性や経験が豊富でなくても、顧客志向であること、問題発見能力・解決能力があること、フットワークが軽くチャレンジ精神があること、リードを獲得して終わりではなくその後の工程までしっかり意識して仕事に取り組めること、向上心があることを重視して採用・育成を行ってきました。

試行錯誤はもちろんありますが、それにより売上につなげるための横串をさして取り組みが行える可能性が高まるのではと考えています。
ただ、組織がある程度のところまでスケールしてきたらさらに急成長していくためにも、そのタイミングで新たにWeb構築やデザインなど特定領域で経験が豊富な方々を採用して施策の精度とスピードを上げるようにしていました。良いタイミングで専門家に加わってもらうと、組織の伸びがさらに加速していきました。今も、当時採用した方々は各組織で活躍されています。本当に嬉しいことです。

マーケティング活動をしていると、どうしてもCPAなど目の前の数字に目が行きがちです。そして、その先にいる顧客のことが見えなくなってしまうことは往々にしてあります。それで良いのでしょうか?顧客不在のマーケティングは結果につながりません。短期的には出るかもしれませんが、本質的ではないでしょう。私の尊敬するマーケターは「マーケターは人の専門家であるべき」と語っています。マーケターの一側面を言い表した言葉ですが、マーケターとして常に顧客志向でありたいですね。

小原:やはりフェーズによって必要とされることも変わってきますよね。ただ、いずれにせよ顧客のことを考えることは必須ですね。近内さん、ありがとうございました!

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