今こそパートナー営業の現場に変革を。共同営業を効率化し、事業の成長スピード向上に貢献【株式会社ハイウェイ 様】
こんにちは、アディッシュの平田です。
adish公式noteでは、さまざまな業界で新しい視点の事業を推進するスタートアップ企業をご紹介しています。
本日ご紹介するのは、パートナービジネスにおける共同営業を支援するソリューション「Hiway」を開発・提供する株式会社ハイウェイです。
COOの中村岳人様に起業の背景やサービスへの想い、今後の展望について伺いました。
ハイウェイ創業の経緯
ー今日はよろしくお願いします。はじめに、御社について教えていただけますか。
中村様:はい。よろしくお願いします。僕たちは「Hiway」という代理店やアライアンスなど企業間の営業連携を支援するソフトウェアを開発、販売しています。創業は2021年11月で、今年の7月にはシードラウンドで資金調達を行いました。
創業メンバーはCEOの久保とCTOの隅田、そしてCOOを務める私の3名です。もともと営業支援ツールSensesを開発する株式会社マツリカという会社で出会ったメンバーで、ハイウェイ創業にはそこでの経験が大いに生きています。
当時、久保は営業・プロダクトの責任者、隅田は開発という立場で同じプロジェクトを担当していました。僕はというと、営業をやっていた時期もありますが、徐々にインサイドセールス、カスタマーサクセスへと転向しまして。また、一時期は広報を兼務していた経緯からマツリカ時代に設立に関わっていた五反田バレーの代表理事を務めたりとバックオフィス側の業務にも携わっていたんです。その後、僕も隅田もマツリカを退職して別の道を歩んでいましたが、ハイウェイ創業にあたり再集結しました。
ー3名で大枠の業務をカバーできてしまいそうな、バランスの良いメンバーですね。起業を決断した背景について伺えますか?
中村様:一番の理由は法人営業、特にパートナービジネスの課題解決に対する久保の思いの強さですね。久保は2016年にマツリカ入社する前から「Hiway」の原型のようなプロダクトの構想を持っていたものの、当時はSaaSの市場も今ほど成長しておらず、時期尚早だと判断したと言います。それがこの数年、SFA・CRM領域で仕事をしている中で市場が変化してきました。
海外でも昨年は同じカテゴリーにあたるCrossbeamなどの企業が大型の資金調達をしていますし、日本のSaaSベンダーからも、パートナー営業に関する課題を耳にする機会が増えてきました。最初は直接販路を開拓して事業を成長させていくものの、ある程度のところで限界がきます。さらに規模を拡大させるためには、大企業への導入や地方での展開、導入後のサポート体制づくりなど、うまくパートナーさんの力を借りたい場面が出てきますからね。
市場の伸長を体感するなかで今がプロダクトを世の中に出すタイミングだと感じました。
ー パートナー営業という領域への特別な想いがおありだったのですね。
中村:大前提として法人営業の効率の悪さは3人に共通の課題感としてありました。営業個人にフォーカスすれば、何がきっかけで成果が上がっているかはっきりわからない、属人化しやすいという頻出課題もありますよね。「出来る営業パーソン」というふわっとした言葉があったりして。
でも、知らない人に会って信頼関係を構築してその人の課題を聴いてその解決にフィットするような提案をして……。大企業や歴史ある企業が相手だと契約していただくまでに1年や2年、平気で経ってしまう。間違った取引をしないという観点では正しいんですが、これって会社としても成長速度を鈍化させる要因になっていると思うんです。
そうして考えるうちに「そもそも営業している側もされている側も、信頼関係をゼロから構築する必要って本当にあるのか?」という疑問が浮かびました。お客様の課題感や社内実情を知っている人と一緒に提案活動をすれば、早々にその課題が解決できますし、販売する側も時間も工数も短縮して商品が売れます。まさに一挙両得です。
この「接点ゼロから提案できるまでのフェーズをすっ飛ばせる」というのが、パートナーセールスの威力じゃないでしょうか。これは私たち自身、マツリカ時代にパートナーの力を借りることで事業成長が加速した体験から確信していることです。
企業間における顧客情報共有とプロジェクト管理の業務効率化を実現する
ー それでは、改めて製品について詳しく教えていただけますか。
中村:海外では「代理店管理ソフトウェア」という領域に属する多数のサービスがありますが、主な機能により細分化されています。国内でもすでにパートナーと共同で案件管理をしたり、販促資料の共有をするようなツールは販売されています。そこで僕らは「Hiway」を発表するにあたり、パートナー営業のどのフェーズをサポートすれば売り上げの成果につながるのか、改めて考えました。
ソフトウェアメーカーと代理店は出会ってから、まずは互いのビジネスのシナジーを検討し、やってみようとなれば製品・サービスを理解する勉強会などの機会を設けます。そして提案できる顧客がないか顧客データの突き合わせを行い、案件ベースで同行。そのなかで商談化したものを案件として共通で管理していきます。
つまり、案件管理が課題になるのはプロセスの終盤だということです。僕らが協業の成功の可否を決めるポイントとして注目したのは、もっと前の「営業できる先を探す顧客データの突き合わせ」の段階です。ここをいかにスムーズに進められるかが重要ではないか、という考えに至りました。
そこで、ソフトウェアメーカーと代理店が自分たちのCRMにある顧客データを部分的に相手に共有したり、共同でアプローチしたいターゲットリストを作り、プロジェクト管理をするためのツールとして「Hiway」を展開することにしたのです。
ー 今までにないアプローチでパートナーセールスの可視化、効率化にチャレンジされるのですね。もう少し具体的な使い方をお聞かせいただけますか?
中村:はい。Hiwayは自社のCRMとAPIで連携できるので、両社の顧客データの間で「覗き穴と情報を取る口を作り、限定的につなぐハブのようなもの」とイメージしていただければと思います。CRM側で見せて問題ない範囲を設定すれば、可能な範囲の顧客データがHiway上の管理画面で閲覧できるようになります。
具体的な利用場面は、営業担当者が「一緒にいける顧客がいないか探そう」とか「提案されているかどうか確認しよう」というときです。Hiwayがなければ、おそらくメーカーが顧客マスターを作ってExcelで配布し、パートナーから提案可能な先にフラグを立てて戻してもらい、マージしてターゲットリストを作るという流れが想定されます。しかし、これはかなり煩雑な作業な上、ヒューマンエラーのリスクもあります。何より営業活動を始めるまでに時間がかかります。
ここに「Hiway」があれば、もっと簡単です。「Hiway」にマスターをアップし、共有制限をかけながら各パートナーに閲覧権限をばらまけば、ターゲットリストが完成します。
「Hiway」の名寄せ機能で顧客データの正確性も担保され、社内のCRMに情報を登録すれば「Hiway」が必要な情報を自動でアップデートするため、常に最新の状態が保たれます。また、「Hiway」には企業DB機能もあるので、CRMの接続をせずにターゲットリストを生成するような使い方も可能です。
担当者同士がシステム上のチャット機能で簡単にコミュニケーションを取れますし、商談の進捗など「Hiway」上で共有された情報はそれぞれのCRMに自動反映されていくので、そこも逐一営業担当者が報告するための手間は必要ありません。
ーなるほど、それは便利ですね。契約はメーカーがするのでしょうか?
中村様:いいえ、契約主体はメーカーに限定していません。例えば多くの商材を担ぐ販売代理店が多数のメーカーとの情報共有を効率化するため、という利用場面も十分に考えられます。
圧倒的にパワーバランスの強いメーカーが使うのであれば別ですが、日本の商習慣や市場構造を考えると、そもそもメーカーが使いたいだけのツールを作っても展開が難しいでしょう。なので、複数の会社間での連携・情報共有を楽にするためのツールとして、利用する場合は複数社とのやりとりを効率化したい側が契約する形を考えています。
「Hiwayが提供する価値」に向き合い試行錯誤する日々
ー現在ビジネスの状況、お客様の反応はいかがですか?サービス発表後に改めて実感したことや想定していなかったことなどがあればお聞かせください。
中村:サービス開始から1ヶ月半(9月初旬取材時)、現在お使いいただいているのは有償・無償合わせて約20社ほどです。一番ニーズがあるのは、一定の事業規模を超えているソフトウェアメーカー、上場しているSaaSの企業であり、その販売代理店となるSIerやディストリビューターだと考えています。
創業当初はシンプルに海外の同様のツールと同じように売ろうとしたのですが、それは少し見込みが甘かったですね。やはり日本ならではの商習慣や、代理店であるSIerならではの力学、キーマンの興味のほこ先を理解してプロダクトを提供していかないといけないと実感しました。そのため、大枠のコンセプトはぶれていないものの、ツールが提供する価値や機能の見せ方を工夫しながら注意深く展開しています。
実際に「Hiway」が普及していくには営業の方のリテラシーや利用するモチベーションなど、超えなくてはいけないハードルがいくつかあると思います。でも確実に営業がしやすくなり業務効率も上がるので、その価値をしっかり届けると同時に、有益な情報を扱える魅力的なサービスへと進化させていきたいですね。
ープロモーション活動としてはどのような活動をされていますか?
中村:今はとにかく実績を積む期間です。いろいろな方にご縁を繋いでいただいて、地道に活動している段階なので、まだ積極的なプロモーションは行っていません。
ただ、長期的な視点として、チャネルビジネスやパートナー営業の市場や概念を自分たちが作ることは意識していますね。少し前に活況になったインサイドセールスやカスタマーサクセスの市場がまさに良い例です。そのために、コンテンツや事例などによる啓蒙活動への投資は徐々に準備を始めています。
パートナー営業の現場に新しい習慣を
ー10年後のHiwayはどうなっているでしょう?
中村:10年後……。そうですね。たとえばSansanさんの「それ、早く言ってよ〜」という有名なCMがありますよね。世間での認知が広がったことは言わずもがなですが、あのCMのすごいのは「営業の業務において名刺管理をするのが当然だ」という商習慣を作ったことだと思っているんです。この「当たり前」が浸透したのは、ちょうどSansanさんが創業後10年くらいの時期じゃないでしょうか。営業の現場という同じ土俵の上で、僕らもまた新たな習慣の確立に挑んでいるわけです。
「今期の売り上げ、見込みが不足してるな」「よし、Hiwayでパートナーと提案先見直してみよう」なんて、会話の中で当たり前に登場するようになりたいですね。それこそ地方の会社も含めて、日本全国でです。
ーそうした中で、中村さんご自身はどのようなことにチャレンジしたいとお考えですか?
中村:僕自身はこれまでいろいろな業務領域を経験してきましたが、特に向いていると実感するのはカスタマーサクセスの業務ですね。特に一定の人がセンスでやっていることの構造を分解して仕組み化する部分に目が行くんです。ある種プロダクトを作るのに近いかもしれません。
今後もHiwayでキャリアを積む中で、仕組み化、あるいはそれを標準化するところにどんどん挑戦したいです。これは、事業拡大の途中で間違いなく必要とされる力です。自分の特性を磨き続け、Hiwayをスケールさせていくエンジンになりたいです。
ー中村さま、本日はありがとうございました。
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