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オペレーションを根底から見直し、顧客体験の向上に挑む。サービスを進化させるためのCSコンサルティングサービス導入事例【akippa様】

空いているスペースを有効活用した、駐車場シェアリングサービス『akippa』を運営するakippa株式会社。同社のカスタマーサポートチームでは2021年3月にアディッシュのコンサルティング支援を導入し、業務課題の解決を進めています。導入に至った背景と利用後の所感、そして今後の展望について、akippa株式会社 Customer Supportグループマネージャー荒木賢一様にお話を伺いました。(聴き手:アディッシュ株式会社 松坂)

累計260万人が利用する、シェアリングエコノミーの先駆け的存在

ー 本日はよろしくお願いします。はじめに『akippa』についてご紹介いただけますか。

荒木様:よろしくお願いします。『akippa』は、使っていない空きスペースを駐車場として簡単に時間貸しできる『駐車場のシェアリングサービス』です。車やバイクが停められるスペースであれば15分単位で貸し出すことができ、ドライバーも会員登録をするだけですぐに駐車場の予約・利用ができます。

オーナーは初期投資することなく土地を有効活用して収益化ができますし、ユーザーも車で移動する際、駐車場所の選択肢が増えるというメリットがあります。自宅の駐車場も含め、車一台分のスペースがあれば十分ですから、全国47都道府県で活用いただいています。

2014年4月のリリース以来、おかげさまで順調に利用者数は増え続けています。現在はドライバーのみで会員数が累計260万人(2022.5時点)、予約できる駐車場は常時3万件以上です。

ー 『akippa』を初めて知った時はその着眼点に驚きました。 シェアリングサービスの先駆けとして広く認知されている印象があります。

荒木様:ありがとうございます。確かに今は他にも似たようなサービスはありますね。ただ、『akippa』の大きな特徴は、15分単位での貸し借りが可能という点です。他のサービスでは利用を1日単位で管理しているケースがほとんどだと思います。1日単位で管理するのと比べると、15分を単位とした場合、システム上の在庫管理や入出庫の管理が煩雑になりますし、出入りが増えるぶんトラブルのリスクもあります。それでも必要な時間だけ、安く借りられるというのはユーザーにとって一番のメリットですし、オーナーにしても回転率が上がって売上の総量が増えれば悪いことはありません。ですからこの仕組みは『akippa』の強みとして大事にしています。

akippaさん

オフィスの風景

ーなるほど。それでは、荒木様のお仕事についてもご紹介いただけますか?

荒木様:はい。私はカスタマーサポートグループ(以下、CS)のマネージャーとして、サポートチームのコスト管理、生産管理、メンバーマネジメントを担当しています。私自身が顧客対応に入るわけではありませんが、CSの現場で得た顧客の声を活かす事業企画やサービス改善、業務設計なども兼任しています。

とは言え、もともとCSの業務経験が長いわけではありません。はじめは営業として入社しました。しかし弊社もまだ、メンバーが70数名(うち正社員は40数名)と小さい組織ですから、できそうなことがあれば複数の業務を兼務することは珍しくありません。私もいち営業担当から徐々に営業企画、事業・サービス全体の企画へと役割が変わっていきました。HR領域に身を置いて、営業企画兼採用担当として評価制度の構築に携わっていた時期もあります。

ー スタートアップらしいキャリア形成ですね。多様な角度から事業に関わる中で俯瞰して課題を捉えられるようになるのですね。

世の中に倣う正解がない。サービスの成長に耐えうる顧客体験をどう作っていけばいいか悩んだ

ー それでは、導入に至った背景やコンサルティングサービスを受けたいと思われたきっかけについて教えてください。

荒木様:はい。もともと弊社は営業力が強みの会社で、サービス設計が得意とはいえず、プロダクトに向き合い顧客体験を高めるということに注力できていませんでした。とはいえ、サービスが成長すれば、利用者数とともに問い合わせ数も増加しますし、同じ比率で対応コストが膨らみ続けてはサービスを維持できません。ですからCSの業務効率化は、事業全体の成長の肝です。サービスが成長するに従い、現状のオペレーションを改善しないと顧客への対応が遅れたり一貫性が担保できなくなるという危機感が募っていました。

ですから今回の導入の目的は、顧客対応の全体設計をし直し運用を磨くことでサービスの成長に耐えうる顧客体験を実現すること、そしてその体制を作るという点にあったのです。

私がCSに携わるようになったのは2020年10月のことです。それから1年間、コスト削減や生産性向上につながる施策を進めてきました。FAQの充実や問い合わせフォームの改善を通じて利用者の自己解決力は上がりましたし、一定の成果が出てはいたのです。

ただ、困ったのはその先です。新しい市場であるがゆえに具体的な正解が見当たらない。このあと何をどう進めていけば良いのか、行き詰まりました。ゴールイメージはあるものの、そこまでのプロセスが見えないので「次に何をすると良いんだろう」というような悩みですね。他の領域にも知見を持っている人にアドバイスを求めてみたいと考えていた矢先に、株主を通じてアディッシュさんのご紹介を受けました。

ー 良いタイミングでのお引き合わせだったのですね。アディッシュに依頼を決めた理由は何だったのでしょうか。

荒木様:そうですね。最初にお話を聞いたとき、CSの領域にもコンサルティングを導入して改善するという打ち手があるんだ、というのが新鮮で印象に残りました。そして実際に弊社の具体的な状況をお伝えするなかで、ご担当の阿部さんのインプットのスピードと精度が高いのに驚きました。いわゆる「王道」がない中で試行錯誤しながら業務プロセスを作ってきたことを理解してくださるので、とても相談しやすいです。

またコストの面でも、スタートアップに特化した料金体系で、段階的に改善を進めていく流れがイメージできたという点も決め手の一つです。

複雑怪奇なオペレーションを可視化し、改善に向けた手応えを実感

ーCSの現場での状況について少し詳しく聞かせていただけますか。

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荒木様:ご支援いただく前は、日頃の業務の全体像を整理し、言語化することができていませんでした。誰もがわかる状態に可視化されていないために、社内から業務について問われたり、新しいスタッフに業務を引き継ぐ場面では都度コミュニケーションコストがかかっていましたね。当然、頭の中には一定の業務の流れがありますが、ブラックボックス化したままで、真の課題把握が難しい状態でした。

お客様とのコミュニケーションチャネルは電話の他、メール、有人チャットなどさまざまです。電話対応に関しては受信後にシステム上の操作、ユーザーやオーナーへのエスカレーションなど膨大な付帯業務があるのも悩みの種です。

この点については、業務を判断が必要なものとそうでないものとに分けることを考えています。マニュアルどおりに進められる非判断業務の割合を増やし、電話を一時受けした人が半分程度は最後まで対応できるようになると理想ですね。

ー実際に今までアディッシュと取り組んできたことや評価についてお聞かせください。

荒木様:スタートして2ヶ月しか経っておらず、まだ整理整頓の段階にあります。正直なところ、具体的な効果やそれに対する評価を語るには少し早いものの、社内外のオペレーションのフロー図やマニュアルの作成を通じて、共通の課題認識ができるようになったのは大きな一歩です。

可視化にあたって現場の運用担当メンバーにも入ってもらっていますが、頭の中にあったものを再認識できるようになり「こんなに複雑になっていたんだ」「あれ、ここはもっとこうした方がいいよね」という感想や気づきの声も多くありました。課題を共通認識としたことで、生産性やサポートの品質を高めるために何を改善したら良いか、ポイントを明示しながら議論できるようになりましたね。

もちろんマニュアル等のわかりやすいアウトプットがあることで、チーム内に限らず上層部とのコミュニケーションも円滑に行えるようになってきました。

CS発信でプロダクトを磨き、akippaが「車で移動するときの第一の選択肢」になるように

ー今後アディッシュにどのようなことを期待されていますか。

荒木様:そうですね。次のステップとして、業務の理想的な形を再設計する段階に進みたいと考えていて、そのご相談を始めたばかりです。効率的な運用で顧客体験を高めるためには、現行のフローにとらわれず、業務のあり方を考える必要があります。

たとえば電話対応に関する業務管理もその一つです。フローの明確化とマニュアルの整備で非判断業務として対応可能な範囲が広がれば、顧客対応のスピードや品質に大きな影響があるはずです。どこまでどう切り分けて運用すると良いのか、アディッシュさんはこの辺の経験値も豊富なので頼りにしています。

今年はCS業務のあるべき姿を見つめ直し、それを実運用に乗せていくところまで実現したいと考えているので、全体の再設計ができたら、ひとつひとつの施策に着手していきます。

ー それではさいごに、今後の展望をお聞かせください。

荒木様:akippaが掲げるミッションは「”なくてはならぬ”をつくる」です。私自身も、今までにない価値を生み出し、当たり前にしていこうとする当社の姿勢に共感し、事業に携わってきました。まずはakippaが、車で移動するときの一番目の選択肢になるように、CSの運用というアプローチからプロダクトをどんどん改善していきたいですね。

困りごとを解決するサービスを提供する企業として存在している以上、今後別のサービスを立ち上げることもあるでしょう。「できないこと」に限らず「より豊かにすること」も含め、世の中の困りごとをプロダクトやテクノロジーで解決することに全力で向き合っていきます。

ー荒木さん、本日はありがとうございました。


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