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VUCA時代のキャリアデザイン手法

非VUCA時代、経営効率とは、組織化することでした。その際、個性も平準化するようなマネジメントスタイルが生まれ、現在は、テクノロジーの進化によって個性の最大化、最適化が競争力そのものになりつつあります。そして、キャリアも(答えのある)用意されたものから、解放された自分の体験を通して、物語(以下、ナラティブ)として紡いでいくものに変わりつつあります。

2018年11月、アディッシュに「3年頑張ります」と宣言し入社をした伊藤さん。実は、以前は18年間も経営者だったとか。

入社直後の社内インタビュー記事

伊藤さんは「働くという体験がVUCA前後で変化する中で、マルチステージ化した働くという体験をどのようにキャリアとして言語化してくのかが、これからの時代のキャリアデザインの主流になる」と話されています。

アディッシュにおいてキャリアのはぐくみ方、伊藤さんのこれまでの歩みやキャリアの捉え方、今後の構想に触れていきたいと思います。

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絶対に譲れない軸となる価値観や欲求、能力を言語化する大切さ

平田:さっそく始めたいのですが準備はよろしいでしょうか!

伊藤:は、はい!まいりましょう。

平田:現在は、アディッシュでどのような役割を担っていますか?

伊藤:今は、今年1月に大規模な組織改変に伴い新設された「イネーブルメント事業」を牽引しています。この組織改変は長期的なプロジェクトでしたので、中心として推進できたことはやりがいに感じました。
   
平田:素晴らしいですね。ビジネス環境や市場、組織、個人などあらゆるものを取り巻く環境が変化し、将来の予測が困難な状況を「VUCA」と表現していると思いますが、このような時代、従来の働き方やキャリアのはぐくみ方とは異なってきていると思うのですが、どう捉えていますか?

伊藤:まさに変わってきていると思います。このVUCA時代におけるキャリアデザイン手法として「キャリアアンカー」という言葉があります。キャリアアンカーとは、個人がキャリアを選択していく上で絶対に譲れない軸となる価値観や欲求、能力などを人生の錨(いかり)として例えられています。

平田:「キャリアアンカー」、初めて聞きました。

伊藤:経営経験を通して、自分自身のミッション・パーパス・スタンダードとの結びつきを8つのフレームワークを通して自分自身の譲れない錨のポイントを言語化する事ができるんですよ。僕は、常々譲れない部分を言語化していますし、なぜ生きているのかといった根源的な問いに対しても言語化ができています。アディッシュの一部のメンバーもフレームワークをやっています。

語り手自身が紡いでいく物語「ナラティブセラピー」

平田:まさに、パーパスですね。もともと、そういう視点をお持ちだったのですか?

伊藤:そうですね。ちょうど35歳頃でしょうか。絶望してましたから。僕は、何をやっているんだろうって。会社を10年以上経営していて何ができたんだろうか、と。その頃からメンバーに対する振る舞いや向きあい方も変わったんですね。どちらかというと強めのコミュニケーションが多かった人間です。

平田:え、そうなんですか。それにしても絶望って、何があったのですか?

伊藤:ちょっと、遠回りするのですが、2001年にユヒーロという会社を作って、当時は1年間、別の会社でお勤めした後だったんですよね。1年間、過ごす中で、こんな状態になるなら、自分が会社を作ったほうがよっぽどうまくできるんじゃないかって、壮大に勘違いしたわけですよ。

平田:勘違い。。なるほど、そこが起点となったのですね。

伊藤:会社を経営して、それなりに仲間も増えたし、それなりに会社も成長したし、ただ中々利益が出ない。メンバーはどんどん疲弊してる。僕は一体、何をやっているんだろう。ということを自分で問うようになって。どっちかというと頑固とは言われつつも素直なほうなので、先人の知恵や会社経営とは、こういったものだ!というものをなぞって10年間やってきたのですが、どうやら、なんか時代が変わっていっているんじゃないかってことに気づくようになったんです。

35歳~36歳の頃から“自分が信じてきていたものを否定する”ことを心掛けるようになったんですね。38歳までは、遊びの無い自分への絶望。社会的な規範や通説に従うだけの時間でした。39歳~41歳は、遊びを取り戻す時間として遊びました。

平田:すごくご自身と向き合い考えていらっしゃいますね。日々、忙しいと「考える」時間を取れなかったりすると思うのですが、どう向き合っていらっしゃいますか?

伊藤:毎朝、朝起きたらその一日のまだ思考が始まっていない自分が、いったい何を欲し、考えるのか?っていうのを5分間目をつぶってみる習慣があります。

平田:瞑想のような?

伊藤:そうそう。自分の中で、要は思考が始まってしまうと、いろんな思考に囚われていってしまう。自分が朝起きた素の状態が、最初の欲求を捉えて、そこに耳を傾けるようにしたんですね。

平田:いつから始められたのですか?

伊藤:35歳くらいからかな、例の絶望していた時期から。今も習慣としては残っていて、今は瞑想はしないんですけど、必ず朝シャワー浴びるようにしていて、その時に歯を10~20分弱磨くんですね。その時間が僕にとっての考える時間です。必ずその時間を作っています。

平田:へぇ~、生活のルーティンとして組み込まれているのですね。

伊藤:そう、それが自分にとってのなんだろう。“自分を自分たらしめる為の時間”が、今でも習慣としては根づいています。

「外はカリッと中はモチッとの組織運営」って?

平田:アディッシュ入社時に宣言した日から3年が経つのですね。アディッシュは、2021年1月に大きな組織改変をしましたが、その中心に伊藤さんがいらっしゃったと思います、どのように動かれてきたのですか?

伊藤:僕の中で、事業や組織運営のテーマっていうのは、常々「外はカリッと中はモチッと」なのです。僕たちはどうやって生きていけば良いのだろうということを考えなきゃいけない時代になっているんだろなぁと思っています。

平田:え?なんですか?(笑)もっと詳しく教えてください。

伊藤:そうですよね(笑)アディッシュは幸いなことに上場ができて、業績も伸びていて、そういう中で、如何に内部構成的に外部監査の会社から、もしくはその株式市場からも厳しい目に晒されながら、中をその目に晒すのではなくてより遊び、内発的な動機づけの中で運営していくかという探求をすることがテーマなんだなっていう気付きを得たんですよ。組織改変の中で、コミュニケーションデザインというチームもでき、OKRや1on1、コーチングなど、内発的な動機付けが可能な組織の土台は整ってきていると考えてい   ます。

差し替え(伊藤さん記事)


平田:準備は整っているのかぁ。伊藤さんは9年(前半・中盤・後半)をひとつの束にして捉えているのですね。その後半のテーマが「外はカリッと中はモチッと」だったのですね。
このテーマが決まっていて、ご自身のナラティブを実現できるのはどこかと考えた時に、アディッシュと出会った感じでしょうか?

伊藤:そうです、そうですね。

平田:ナラティブを紡いでいらっしゃる!予定通り来ているのですね。

伊藤:経営を研究する・経営を開発する、それで、経営を運営する。要は再現性。ここで試しに来ている。それがアディッシュでの3年なんですよ。だからアディッシュに入社する時点で「まずは3年」と期限を決めていたんです。

平田:ご自身で立てられた目標に対してのコミットが凄まじい。

伊藤:やはり、絶対に譲れない軸となる価値観や欲求、能力を言語化することに尽きるかなと思います。言語化するだけでもダメで常に変化していく社会に適応させていく。その繰り返しですね。

新たな9年が始まる。テーマは「遊び場の発明」

平田:2021年で9年の束に一区切りだと思います。新たなテーマは決まっていますか?

伊藤:はい、既に新たなテーマは定めています。もう少し経つと、人生において既に3つの束ができる事になるので、その束を幾つ作っていけるかを考えていきたいです。

テーマ:遊びの発明

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平田:遊びの発明ってなんだろう、気になるなぁ(笑)アディッシュ内での新たな構想はありますか?

伊藤:はい、もう既に走らせていますよ!ただ、話しだすと何時間も話せちゃうので、またインタビューしてくれたら嬉しいです(笑)

平田:そうします(笑)

伊藤:個々が紡ぎだすナラティブにおいてキャリアを考えていく、また遊ぶ感覚の中で社会との関わりをデザインしなおしていくメンバーが増えていく事を楽しみにしています。

平田:伊藤さん、ありがとうございました!

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