難しいBtoB商材の営業を、インタラクティブ性で解決。対話型パーソナライズ動画SaaS「LOOV」【株式会社LOOV様】
アディッシュ公式noteでは、さまざまな業界で新しい視点の事業を推進するスタートアップ企業をご紹介しています。今回お話を伺ったのは、営業DXを実現する対話型パーソナライズ動画SaaS「LOOV」を開発する株式会社LOOV(読み「ルーブ」、以下「LOOV」)です。
LOOVを用いれば、見込み客の属性や関心に応じた動画を簡単に作成・配信でき、効率的なBtoB営業を実現できます。また単にツールを提供するに留まらず、営業経験豊富なコンサルタントチームが、視聴データを使ってより効果の高い動画作成をサポートしてくれる点も、LOOVの魅力です。
LOOVのサービス内容や、どのような企業や商材がLOOVを活用できるのか、LOOVを使った面白い事例は!?LOOV社代表の内田雅人さんに聞きました。
※以下、主に会社を指すときは「LOOV社」、サービスを指すときは「LOOV」と表記します。
相手に合わせて変化する、BtoB営業のための動画サービス
── 最初に、LOOV社について教えてください。
LOOV社代表取締役の内田です。私は2022年まで株式会社イノベーションにて執行役員や子会社の取締役を務めていました。その後、2022年に「BtoBのデジタルコミュニケーションに、『パラダイムシフト』を。」を掲げ、LOOV社を創業しています。
我々のサービスの対象はBtoB営業です。「小難しい」商材が多いために、顧客に自社の商品や競合他社との優位性を正確に理解していただきづらいという課題を抱えています。PDF資料やウェブサイトだけで商品の魅力を伝えるのは難しいですし、対面でも商材の説明に苦労している担当者も少なくありません。LOOV社の調べによると、92%の営業マンが「この資料だけじゃわかりにくいかも……」と思いながら営業先に資料を送付しているそうです。他方の買い手企業も、その82%は資料がわかりにくいと感じています。つまり、売り手も買い手も現在の営業資料には満足していないのです。こういった状況を解決したいと思い、我々はLOOVを開発しました。
── それでは開発するサービス「LOOV」について教えてください。
改めて、我々は相手に合わせて変化するパーソナライズ営業動画SaaS「LOOV」を開発しています。営業のハイパフォーマーを「複製」し、顧客への商材説明や提案を24時間365日「対話型動画」に代替するサービスです。2023年にローンチして以来様々な機能を追加してきました。2023年11月時点で導入企業は50社を超えています。
サービスの特徴は大きく3つ。1つ目に、簡単に動画を作れる点です。私は数分の動画を作るのには1本15〜20分程度しかかかりません。2点目はパーソナライズです。顧客は動画を見る前にいくつかの設問に回答し、それに沿った動画を見ることになります。例えば最初に「決裁者向け / 現場担当者向け」といった選択肢を用意し、「決裁者向け」を選択。その後さらに「デモ動画 / 事例紹介 / FAQ」という選択肢が表示されるので「事例紹介」を選択してもらうと、事例紹介動画が見られる、といった具合です。最後に、動画の視聴データがリアルタイムで把握できる点。このデータを活かしながらユーザー企業は営業活動を改善できるようになっています。
── 3点目の計測機能の結果を見て、LOOVから「この動画はこういうふうに変えたほうがいいよ」といったアドバイスもするのでしょうか。
もちろんです。むしろ、LOOVの強みはそこにあるとすら言えます。LOOV社の下には、元セールスフォースのセールスマネージャーや、マイクロソフトのDynamicsチームを立ち上げた者が所属するコンサルタントチームがあり、LOOVを導入していただいた企業にオンボーディングからしっかりと伴走。効果的な動画を作れるような支援体制を敷いています。
── 例えばどのようなアドバイスをするのでしょうか。
例えば「冒頭の動画は5秒以内の挨拶にしてください。その後にすぐ、個人情報入力のフォームを出しましょう」といったアドバイスをしています。この方が動画を見てもらえる可能性が高まることが、前述した計測機能の結果から判明しているんです。動画を何本も作成・分析してきたノウハウやデータ、コンサルタントチームが保有する知見をもとに、様々なアドバイスを提供しています。
AIが自動で音声を読み上げる機能も。多方面から動画作成をサポート
── 取材にあたって、資金調達プレスリリースの動画を拝見しました。この動画はどのような狙いでパーソナライズを設定したのでしょうか。
この動画では最初に「VC・投資家 / 事業会社 / その他」という分岐を用意しました。これは投資家と見込み客である事業会社で説明する内容が変わってくるからです。投資家向けでは会社説明を多めに、事業会社(見込み客)向けにはサービス説明を厚めにしています。
このように、一般的な営業シチュエーションでも営業ハイパフォーマーは、商談先の事業特性や役職で、ヒアリング内容やクロージングの刺しどころを変えています。それをインタラクティブに、営業ハイパフォーマーのプレゼンを動画で再現できる点がLOOVの強みですね。
── 対面でのハイパフォーマーと、動画でのハイパフォーマーが異なるといったことはあるのでしょうか。
現時点はそんなに変わることはありませんが、今後はありえるかもしれません。例えば最近は減っているかもしれませんが、飲み会のようなウェットな商談は動画では実現できませんからね。
── LOOVを使うのに向いているのはどういった会社ですか?
BtoB営業をしている会社には広くご利用いただいていますが、比較的単価が低い商材を扱う会社には特に向いていると思います。一般的にこういった商材の受注を増やすために重要なのは、新規商談数を増やすこと。そのため、アポが取れたら見込み客に事前に用意したLOOVの動画を見ていただき、商談当日は説明を省きクロージングに徹することができれば、一人当たりの商談数を増やせるでしょう。
また販売代理店でもLOOVはご利用いただけます。特に商品を数多く扱っている会社では、中には営業マンが詳しくない商品もあるでしょう。そうすると営業は上手くいかず、当然顧客も商品理解が進まず、結果として商談は上手くいきません。しかしLOOVで商品に詳しいハイパフォーマーの動画を用いれば、商品説明に苦労することはなくなります。代理店が販売元のメーカーと協力して動画を作成してもいいかもしれませんね。
総じて、営業マンがたくさんいたり、扱っている商材がたくさんあるけれども、全員が均一に営業提案できていないという会社がテックタッチ施策を強化したいという場合にはLOOVがお役に立てると思います。
── シナリオはどの程度作ることが多いのでしょうか。
もちろん商材や状況によりますが、平均4〜5本程度ですね。
── 意外な理由で作られた動画はありますか?
面白いところでは、商談の後、商談先の担当者が社内で上申する際に使う動画が作られていたケースがありました。というのも、BtoB商材の販売フローでは、自社の営業マンが一旦商談先の担当者に説明した後、その担当者に、商談に出席していない決裁権者に商品やなぜその商品が必要なのかという説明をしてもらわなければなりません。ここで、もし当該担当者の説明能力が上手く説明できないと、本来なら売れたはずなのに実際には売れなかったという事態が発生してしまいますよね。ですがこういった現象はBtoB営業では決して珍しいものではありません。だったら最初からハイパフォーマーが決裁者用の「商品説明」「料金プラン」「FAQ」といった動画を作成しておけばいいと、動画を作成していました。面白い使い方ですよね。
── 色んなパターンを想定して、様々な動画が作成されているんですね。
その通りです。ただ、LOOVにはインタラクティブ動画を簡単に作成できる機能も備えました。例えば、普段使っている営業用PDF資料をアップロードすると動画台本をAIが自動で作成します。またAIがテキスト情報を音声に変換することも可能です。つまり動画作成にあたっては、営業ハイパフォーマーが話して録画してもいいですし、トークスクリプトを入力してAIに自動読
み上げをさせてもいいというわけです。
BtoB営業を起点に、幅広く「相手に合わせる」シチュエーションに対応していく
── LOOV開発のきっかけを教えてください。
前職時代、私はIT企業150〜200社のセールスやマーケティングに携わっていました。しかしPDFを送付してインサイドセールスががむしゃらに電話して補足説明をして……という営業フローには疑問を抱いていたんです。伝わらないだろうなと思いながらPDFを送り、伝わらないと思いながら電話をするのは辛いだろうなと。僕は営業畑出身なので営業の楽しさは知っているつもりです。しかしこんな体制ではそうでない人が多くても無理はないと感じていました。
── そこからどうしてパーソナライズ動画に行き着いたのでしょうか。
きっかけは海外のある映画CMでした。これがインタラクティブな動画だったんですね。ヒーローと悪役がいて、ヒーローのボタンを押すとヒーロー目線の動画が、悪役目線を押すと悪役目線の動画が流れるというものでした。技術的に難しくはないのですが、この仕組みに僕は衝撃を受けたんです。それでよくよく調べてみたら、欧米ではこのように動画を営業やマーケティングに活かしている事例が増えていることが判明しました。インタラクティブ動画を上手く活用すれば、国内のBtoBセールスを改善・改革できる。そう思って、起業し、LOOVの開発に取り掛かりました。
── 最後に、今後の展望を教えてください。
繰り返しになりますが、LOOVの利用者が増えるにつれ、各社の視聴ログや録画データが貯まってきました。将来的にはこれを匿名加工して機械学習にかけ、例えば「御社の業種ではこういうフローやこういったストーリー構成だと、もっと受注に繋がる可能性がありますよ」「生成AIでその動画作っておきました」といったことに取り組んだりして、LOOVの付加価値を高めていきたいと考えています。
また現在はBtoB営業に絞ってサービスを展開していますが、将来的にはカスタマーサクセスやIR、PRなど、相手に合わせて言い回しや訴求ポイントを変える職種やシチュエーションにも広く対応していきたいです。
── アディッシュもLOOVを応援しています。内田さん、本日はありがとうございました!