健全なネットコミュニティ社会を目指して。オウンドメディア監視の楽しさとは?
今回はアディッシュ株式会サービスデリバリー事業部 OMEプロダクトプロダクトオーナー 石井晃紀さんにお話を伺いました!
プロダクトオーナーとしての気づき
吉澤:本日はよろしくお願いします。
石井:よろしくお願いします。
吉澤:早速ですが、OMEプロダクトでは何をされているんですか?
石井:カスタマーサポートを担うサービスデリバリー事業部のなかで、主にオウンドメディアの投稿監視サービスをしています。なかでも、規模の大きいメディアで専任の運用担当が必要な場合、私の管轄するOMEプロダクトチームがモニタリングを行なっています。
吉澤:そのチームをプロダクトオーナーとして率いているんですね。プロダクトオーナーは普段どんな業務をしているんですか?
石井:顧客対応、予算管理なども含め、全体的なプロジェクトマネジメント業務ですね。運用が滞りないように案件のサポートを行なったり、SV(スーパーバイザー)と呼ばれる社内のオペレーターを管理するスタッフのフォローだったり。
吉澤:幅広いですね。
石井:結構大変ですね(笑)でも、オーナーになって色々と幅広い業務に携わることができたおかげで、視野も広がりました。
吉澤:例えばどんなことですか?
石井:どうやったら十分な顧客満足度を届けられるチームにできるかなとか、もうちょっと利益が出るかなとか、よりオーナー目線というか、広い目線で部署全体を見れるようになりました。
吉澤:マネジメントや経営のマインドが石井さんのなかに芽生えたのかもしれませんね。
石井:そうかもしれません。よりPL(Profit and Loss)とかを意識するようになりました。うちの事業部は、どうしても人が張り付きになるサービスなので、利益が出しにくいということがあります。だからこそ、どうやったらもうちょっと利益が出るか、例えば空いた工数を使ってアノテーション業務ができるようにしたりとか、色々工夫するようにしてます。
吉澤:素晴らしい取り組みですね。
石井:まだまだ課題が山積みなので、早く解決していきたいですね。
吉澤:他にはどんな取り組みをされていたりするんですか?
石井:ノウハウの共有はしっかりやろうと思っています。経験の長いSVは当然ノウハウもたくさんあるし、経験値も高いからすぐに何か問題点を見つけたら対処できますが、経験が浅いSVだとそうはいきません。個々の能力に依存してしまうと品質が不安定になってしまうので、しっかり案件ごとのステータスや課題感、対応策などを共有するようにしています。
吉澤:対応にムラがあると顧客ファーストとは言えないかもしれませんね。
石井:その通りですね。
同じ目線、その先に見えるものとは
吉澤:OMEプロダクトにはどのようなお客様がいらっしゃるんですか?
石井:業種業態は様々ですが、出品監視とか、動画配信サービスなどは最近増えてきていますね。特に動画配信の場合って、1時間に1回投稿監視するとかではもちろん遅いわけで、リアルタイムに違反を検知する必要がありますよね。その分コストも少し割高になるんですが、自ずと監視の難易度も高くなります。こういう専門性の高い監視は僕のところで担当していることが多いです。
吉澤:確かに動画の監視って、なかなか難しそうですね。
石井:はい、例えば配信者が急に裸になりだしたとか、誰かに危害を加える発言とか、そういう突発的なことが起きたときに対処しなければならないので、張り付きになって見る必要があります。最近だとAIが色々検知することも増えてますが、ライブ配信のような場合だとそうはいきませんからね。いつどこで何が行われるかわからないので、私たちのような動画監視のニーズが高まっているのだと思います。保険のような意味合いが強いかもしれませんね。何も起きないことが本当はベストなんですが、万が一に備えると言う意味で。
吉澤:監視のプロフェッショナルって感じですね。普段のクライアントワークで気をつけていることとか、心がけていることってどんなことですか?
石井:そこに関しては、「クライアントと同じ目線を持つこと」です。専任のチームを持つということは、クライアントが考えていることやビジョン、課題感などを頭の中に常に共有している状態でないといけません。認識の差があると、定例のミーティングの会話にも齟齬が生まれてしまいますし、サービス理解が追いつかないと、監視のクオリティにも大きな影響が出てしまいます。しっかりサービス品質を担保するためには、同じ目線というのは欠かせません。
吉澤:営業やコンサルティングの提案と同じようなイメージかもしれませんね。
石井:そうだと思います。逆に我々がサービスの中身について口を出すこともあるんですよ。例えば動画配信サービスでいうと、他業態から新規参入したクライアントなども多いんです。僕たちはすでに色々な動画配信サービスの監視をしていますから、その知見を踏まえて、もっとこうしたほうがいい、ああしたほうがいい、という意見が言えるんです。ちゃんとサービスの方針や顧客のビジョンに寄り添っていると、そうした経験として生きることがあります。
吉澤:やはり、そうしたビジョンに寄り添うのとそうでないのとでは、監視サービスの品質にも影響を与えるんですか?
石井:結構インパクトは大きいと思います。なので、僕たちは毎回監視サービスを受けるときは、そのサービスを世の中に提供している背景や理念を聞くようにしています。世の中の一般的な基準で監視対象を判断してしまうと、実は的外れだったりもするんです。そのサービスをどういった理念・方針でユーザーに提供しているか。そこをしっかり把握しておくと、僕たちが作る投稿監視の基準書も自ずとユニークなドキュメントになって、お客様からの評価も違ってきます。
他にも、例えば投稿って、世の中のトレンドや移り変わりによって内容も変わったりするんですね。そういうときに、今までの基準書では対応できないということもたまに起こるんです。そういうケースの場合、僕たちがサービスの理念、コンセプトを知っておくと、事前に対処できたり、大きな対応の違いを防ぐことができるんです。
吉澤:若い世代だと特にいろんな言葉が出たり消えたりして、移り変わりの速度も早そうですね。
石井:そうですね。そういう一つ一つをどう判断するか、というのはやはりサービスの理念や背景を知っておかないといけません。
吉澤:きめ細やかな対応はきっとクライアントにとってもすごく嬉しいことだと思います。何かお褒めの言葉を頂いたりとかはしましたか?
石井:はい。おかげさまで色々フィードバックは頂いています。他の監視会社から弊社に移って頂く企業様も多いのですが、「adishさんはただ基準に従って運用をするというイメージよりも、もっとこうしたほうがいいというような提案をくれたり、たまに違う意見を言ってくれたりして、サービス運営者の目線に立ってくれる」という声を頂くことはあります。
吉澤:そういう姿勢はクライアントにとっては頼りになりますね。
石井:そうありたいですね。以前、監視の基準書を一から一緒にクライアントと作り上げるということもやったことがあるのですが、そうやってクライアントから頼りにされると、モチベーションも上がりますし、やっててよかったなって思えます。信頼されていないと、そこまでお願いされることもないですしね。
シンプルだけど奥が深い
吉澤:ここまで聞いて思いましたが、投稿監視ってすごく奥が深いんですね。
石井:サービスの数だけ監視のルールもあるっていう感じです。実はとても奥が深いですよ。簡単な例でいうと、例えば「コミュニティサイト」というくくりでみても、異性と出会うためのマッチングアプリもあれば、就活向けのアプリもあって、それぞれ利用用途は違うわけです。どんなコミュニティなのか、そこでどんな会話が繰り広げられるのか。その中身の性質によって基準も大幅に変わってくるわけです。それにさっき述べたように、言葉のトレンドも時代の変化に応じて常に変わっていますし、前後の文脈も読み取らないといけない。豊富な経験があってこそ、最適な監視ができるんだと思います。
吉澤:今後世の中的には、そういった投稿監視の基準ってどうなっていくと思われますか?
石井:どんなサービスでも共通するNG投稿があります。それは法律や条例に関わるもので、そういったものは統一された基準書を策定するべきです。ここは国が主体となって動くべきだと思います。あるいはアーキテクチャのシステム側で制御したり、そういった全体的な仕組みが必要になります。そこから漏れた部分、つまりサービスによって基準が異なる可能性がある場合は、そこは従来通りカスタマイズをしていくことが必要でしょう。この2つのハイブリットによって、より健全なネットコミュニティが形成されるのではないでしょうか。
吉澤:最近は若い世代も当たり前のようにネットを使っているので、ネット教育も合わせて必要ではないかと思いますが、このあたりはいかがでしょうか。
石井:最近は若い人たちが自分自身を表現する機会が増えてきた印象があります。特に動画配信系は顕著です。そこでは、アバターとしての自分ではなく、生の自分自身をさらけ出すことにあまり抵抗感がないように思えます。もちろん健全なコミュニティであれば問題はないのですが、たまに誹謗中傷や卑猥な言葉・動画があったりすると、大きな被害・事件に繋がる可能性もあります。こうしたリスクがネット上には転がっているということを、同時に教育していく必要も感じています。弊社のスクールガーディアン事業部と連携を強めて、このあたりの解決もしていきたいですね。
吉澤:なるほど、とても理解が深まりました。これからも頑張ってください!ありがとうございました。
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