決め手は他社より深い、スタートアップの理解度。重要な事業課題へ共に向き合う、スマートリング「SOXAI」へのCSサポート導入事例【株式会社SOXAI】
株式会社SOXAI様は、健康管理用スマートリング「SOXAI RING(ソクサイリング)」を開発するスタートアップです。同社は急成長する販売量にカスタマーサクセス(以下「CS」)が追いついていないという悩みを抱え、CS業務(の一部)の外部委託検討を決断。何社かに話を聞いた後に選んだのが、我々アディッシュでした。「スタートアップというものを理解し、その上でSOXAIに沿ったCSを提案してくれた」と、SOXAIでCOOを務める光頼篤樹様は語ります。アディッシュを選んでいただいた光頼様に、その理由や背景、SOXAIのCSの現状や課題、アディッシュと取り組むCS施策について伺いました。
大学時代の筋トレ仲間からの急な連絡でスタートアップ経営へ
── 光頼さんの経歴を教えてください。
私は新卒で日本航空株式会社(JAL)に総合職として入社しています。2年間しか在籍していないのですが、出向先のコールセンターにて社会人としての基礎を叩き込まれました。その後コンサルティングファームのデロイトに転職し、大企業の経営戦略や事業戦略の策定支援、ビジネスDD、投資分野調査、メガトレンド分析などの案件に携わりました。
デロイトに転職するときに、30歳になるまでには新しいチャレンジをすると決めていたので、29歳の年に退職を決めました。ちょうどその時に、大学時代の筋トレ仲間で、後にSOXAI代表になる渡邉から連絡がきたんです。「起業する」って。それで話を聞いていたら、トントン拍子で「じゃあやりますか!」と。自分で事業をやりたい気持ちも元々強かったので、半ば勢いで創業時のSOXAIへ参画しました。
── 今はCOOとしてどのような業務を担当しているのでしょうか。
基本的には代表の渡邉が研究や開発領域を、私がそれ以外の主にビジネスサイドをリードしています。CSはもちろん、マーケティングや広報、ファイナンス、事業開発、バックオフィスなどが私の担当です。
IoTとアプリで健康を管理するスマートリングを開発
── SOXAI社の開発するスマートリング「SOXAI RING」について教えてください。
SOXAI RINGは、バイタルセンシング機能が搭載されたスマートリングです。海外製のスマートリングは国内でも流通し始めていますが、made in JapanとしてはSOXAI RINGが初のプロダクトとなっています。SOXAI RINGの特徴はなんといっても幅7.6mm、厚み2.5mmという世界最小のサイズ感。2〜3gしかないので、装着していても違和感がありません。
スマート「リング」なので、SOXAI RINGにはアクセサリーという側面があります。そのため、日常のどんなシーンでも身につけられるようにデザインやカラーにもこだわりました。ガジェット好きな男性はマット系、女性はピンクゴールドが人気です。健康管理系のデバイスということもあって、ちょっと年齢層が高い方にもお使いいただいています。完全防水・完全防塵で中に空気も入らないので、お風呂やプールはもちろん、うっかりポケットの中に入れて洗濯機で洗ってしまっても大丈夫です。電池が切れない限りずっとつけっぱなしで問題ありません。電池は最大で6日ほど保ち、1.5時間ほどで充電可能です。
SOXAI RINGでは心拍数、心拍変動、血中酸素レベル(SpO2)、体表面温度、活動量等のバイタルデータが測定でき、取得した情報は独自のアルゴリズムで分析。睡眠状態、活動状態、ストレス状態などをモバイルアプリ上でスコア化して表示することで、ユーザーの生活習慣や睡眠の質改善のために行動を促します。
SOXAIは国内大学と共同で研究開発も実施。現在は一般的なヘルスケアアドバイスに留まっていますが、将来的には、パーソナライズしたアドバイスや情報を提供できるようにしたいと考えています。
また、SOXAIはアプリも提供していますが、ビジネスモデルとしてはサブスクリプションではなく、プロダクトの買い切り型としているのも特徴です。
スタートアップの急速な成長に、CSが追いつかない
── SOXAI社には、2023年7月からCSをアディッシュに委託していただいています。まず、SOXAI社へのユーザーからの問い合わせにはどのようなものがあるのでしょうか。
購入後のサポート関連のものが多いですね。リングとスマホのペアリングに関してなど、特にテクニカルな内容が多くを占めます。
あとは製品が届くタイミング。現在のSOXAI RINGは予約販売形式を採用していて、注文のタイミングによっては商品が手元に届くまでに2〜3ヵ月お待たせしてしまうこともあるんです。そういった事情もあって「商品はいつごろ届きそうですか」といった問い合わせも少なからずあります。
── アディッシュに委託するまでのCS体制について教えてください。
SOXAI RINGをリリースしたのは2022年10月。当時はユーザー数も少なかったので、私と代表の渡邉の2人で、1日1時間ほど問い合わせに対応するだけで、十分対応可能だったんです。その後、ありがたいことにユーザー数は順調に増えていったのですが、同時にユーザーからの問い合わせも増えてきて、さすがに2人体制では厳しくなってきました。社内で体制を構築しようとも考えたのですが、すぐに対応するのも難しく、マーケティングやプロダクト開発などの他部署の専門人材までもが問い合わせ対応するような状況に陥ってしまい困っていました。
また、仮にマーケティングを上手く実施してお客さまに注目していただいたとしても、CSに課題があり満足度が低いと、中長期的にはお客さまから選ばれなくなってしまいます。CSが成長の足かせになっていたんです。
── CSの内製が難しいと考えた理由を教えていただけますか?
苦い失敗体験から難しさを痛感しました。実はアディッシュさんに依頼する数ヶ月前に、CSの内製化を試みたことがあるんです。スタートアップ×CS領域の第一線で活躍されていた方を、時間をかけて採用し、その方を中心にCSチームを再編していました。
しかし、ご家庭の事情で急な退職を余儀なくされてしまい、CSを中途半端に属人化させてしまったが故に、かなりカオスな状態に陥ってしまいました。我々は社員数が少ないスタートアップですし、社員が一人抜けるだけで会社全体に影響が出ます。特にCSはお客さまと直接向き合うので、本来であればリスクを考慮しながら一番慎重に進めるべきところを、早急な課題解決のために気持ちが先行してしまいました。
そんな状況下において、お客さまからの問い合わせが溜まっていく一方だったので、再度リスクをとって内製化を目指す選択肢は自然と消え、迅速に且つ確実にCS体制を整えるために外注する決断に至りました。
── それでアディッシュにCSを委託していただいたんですね。CSを請け負う会社は何社かあったかと思いますが、その中からアディッシュを選んだ理由を教えてください。
おっしゃるとおり、何社かからお話を伺って、アディッシュさんに決めました。決め手は一言でいうと「スタートアップの事情」をわかっていただいていたからです。
他社は、ある程度体制が構築されている大企業や中小企業を前提としてお話をしている印象がありました。一方でアディッシュさんの担当の方には、最初の面談ですぐに「スタートアップとしての成長スピードにCSの構築スピードが間に合っていないですよね」と指摘されたんです。まさに正鵠を射た表現でした。
スタートアップは急成長するがゆえに、大企業や中小企業のように安定した組織やサービスとなっているケースは少なく、それは我々も例外ではありません。そのため、事業を前に進めながら、環境変化に応じてCSもどんどんと変わっていかなければならないんです。アディッシュさんは何社もスタートアップのクライアントを抱えているということで、「これはスタートアップのことをわかってくれるな」と感じ、CSをお任せすることにしました。
またCSをお任せするにあたり、アディッシュさんの方々が実際にSOXAI RINGを使っていただけるというのも好印象でした。やはり有形プロダクトは、質問によっては触ってみないと問い合わせにも反応しにくいと思うんです。なので積極的にプロダクトを使っていただいて、それをもとに、後述するテンプレートを更新していってくれる姿を頼もしく感じています。
あとは細かい話ですが、以前はタスク管理ツールを強引に使ってなんとかCS業務をこなしていて、それも限界があるとアディッシュさんにはすぐ見抜かれました(笑)。それでCS用のツールが必要という話になったのですが、アディッシュさんはZendeskのパートナーで、その導入も効率よく対応していただけるというのは助かりましたね。
FAQのテンプレ化を通して、問い合わせの8割に対応できるように
── 具体的にはどういった作業をアディッシュに委託していただいているのでしょうか?
アディッシュさんには「ナレッジの体系化」「対応フローの整備」「カスタマーサービスプラットフォームZendeskの導入」などによる、お客さま満足度の向上や業務効率化につながる支援をお願いしています。
最初に対応いただいたのは、FAQのテンプレート化です。従前は回答が属人化してしまっていたのですが、体系的にテンプレートに落とし込んだことで、品質を保った回答ができるようになってきました。前々からやりたかったのですが、人手が足りていなくて困っていたものを対応いただいた形です。これを作ったことで、体感ですが日々の問い合わせの8割弱はアディッシュさんにお任せできるようになりました。
第一弾のFAQテンプレート化が落ち着いてからは、SOXAIメンバーへのCSオンボーディングや教育、またCSチームの体制構築などもお願いしています。今はアディッシュさんにCSのほとんどをお願いしていますが、今後は改めて時間をかけて内製化を進めていきたいとも考えています。単にユーザーからの質問に回答するだけでなく、こういった組織設計もお手伝いいただけることは助かっていますね。
思い返せば最初に相談したときも「将来的にCSを内製化するときのためのお手伝いもします」と言っていただいたのですが、このスタンスもアディッシュさんを選んだ理由の一つでした。
── ありがとうございます。次に取り組むべきCSの課題を教えてください。
お客さま満足度を向上させ続けることです。アディッシュさんに支援いただいてから一部改善できているものの、まだまだ理想のCSとはかけ離れています。先月に新モデルの予約販売を開始したのですが、ありがたいことに多くの反響をいただいており、それもあって購入前のお問い合わせや、購入後の注文内容に関するお問い合わせが想定以上に増えています。そんな状況下で、現在もまだ十分なスピードで対応しきれておらず、お客さまが求める対応をできていないと感じることが多々あります。引き続きアディッシュさんと共にお客さま一人一人に向き合い、末永く快適にSOXAI RINGを使い続けていただけるようにしたいです。
── もちろんです、よろしくお願いします。最後に、SOXAI RINGの今後の世界観を教えてください。
SOXAI RINGが日本人の健康管理のスタンダードになるような世界を創りたいと考えています。
日本は国民皆保険制度ということもあって、人々の健康予防意識は高くないと考えています。しかし、人生100年時代を豊かに過ごすためには予防の意識が必要不可欠です。それをSOXAI RINGで支えていきたいのです。元々健康を気にされている方に使っていただくことはもちろんのこと、まだ健康意識が高くないような方が、ガジェットやファッションリングとしてSOXAI RINGを購入し、いつのまにか健康管理もしている。少し極端ですが、そんな世界を創れれば嬉しいですね。簡単ではありませんし、長い道のりですが頑張っていきたいです。
── SOXAI RINGを健康管理のスタンダードにするべく、アディッシュもお手伝いしていきます。本日はありがとうございました。