廃棄待った!使わなくなった計測器や工作機械の循環利用を実現する【Ekuipp株式会社 様】
こんにちは、アディッシュの平田です。adish公式noteでは、さまざまな業界で新しい視点の事業を推進するスタートアップ企業をご紹介しています。本日ご紹介するのは、製造業の当たり前に新たな視点で切り込み、ビジネスを始めたEkuipp株式会社です。代表取締役 松本悠利様にお話を伺ってきました。
サービス内容について
松本:主な事業は中古の計測器や中古分析器、中古工作機械を法人間で直接売買可能なマッチングプラットフォーム『Ekuipp(エクイップ)』の運用と、精密機器などの資産を一括管理する『Ekuipp台帳』の開発・運用です。Ekuippは製造業の工場やプロジェクトの現場、研究所や大学などで使われなくなった精密機器・工作機械を廃棄するのではなく使いたい人が購入できるよう流通させる仕組みです。Ekuippを利用すれば、機器・機械の売り手は壊れていたり、使わなくなった機械を高額で販売でき、資産を管理する手間からも解放されます。買い手にとっても整備済みの製品を比較的安価に手に入れられるというのがメリットです。
平田:どんな製品が対象なのでしょうか?
松本:計測器・分析器・工作機械全般です。と言ってもあまりピンとこないかもしれませんね(笑)。一番イメージしやすいのは金属を削ったりする工場で使っているような工作機械でしょう。大きすぎて棄てようにもそう簡単に処分できず、引き合いが多いんです。参考に弊社でお配りしているチラシをご覧ください。
このように製造業の現場では用途に特化した高額な機器・機械がたくさん存在しますが、中古の機器を売買するカルチャーは製造業のどこにも根付いていません。現状はEkuippも代理店に取引を主導してもらっています。
起業の経緯
平田:なぜこの事業を立ち上げられたのですか?
松本:それは、自分自身が機械を棄てる立場にいたからです。起業前は長い間、石油関係のクライアントを持つ技術サービス会社で物理エンジニアとして働いていました。地層評価や採れる原油の成分分析のため調査用のセンサーを開発し、クライアントに提供する仕事です。そのセンサー開発のために高額な工具を買うんですが、いざ完成してもう使わないとなると廃棄するのが当たり前だったんです。
製造の現場や大学などで実際にあるのが、年度予算の消化目的でとりあえず買うという話です。使わないと次年度から予算が削られてしまいますからね。でも、結局使わない。しかも棄てようと思うと費用がかかったりするわけです。そのうち棄てられずにある機器を不当な価格で買い叩く人が出てきたりする。自分自身もエンジニアとして現場で関わっていたために、自然とこの問題に目が向きました。
平田:最近、世の中で広がっている循環型経済の考え方と真逆ですね。
松本:そうなんです。もったいないですよね。実は世界的に見て日本は工作機械・産業機器の市場では強い立場にあります。国内市場も一次の流通規模は年間2兆円と言われ、非常に大きな市場です。しかしここでビジネスをするには、製造業の業界構造や常識を理解する必要があり、さまざまな産業機器に関する専門的な知見も求められます。容易には参入できない特殊な市場だと言えます。
私は前職から離れて起業するまで少し時間をかけていろんな事業を考えました。投資家や知人に片っ端からアイディアをぶつけてはフィードバックをもらい、検討を重ねたのです。そこで見えてきたのが、製造業の工作機器・産業機械の流通構造に一石を投じるEkuippでした。自分の専門性を活かすことができて、参入障壁が高く、大きな可能性を秘めた市場。ここで勝負すべきだと確信しました。
今後の展望
平田:将来に向けてプロモーション活動や組織の拡大など、力を入れていることはありますか?サービスの今後の展望についてお聞かせください。
松本:プロモーション活動は地道に進めています。起業から3年経ち、プレスリリースを新聞に取り上げていただいたりするうちに、認知され始めてきたという手応えは感じていますね。ただ悩ましいのは、町工場の社長さんなど、インターネットよりも紙媒体の方が影響力が大きい方々へのアプローチ方法です。ぜひ私たちのサービスを知っていただきたいので、これからも金融機関さんなどを経由して情報を届けていきたいです。
組織に関しては「できるだけ身軽に」を意識しているので、自社体制を増強する方向では考えていません。これまでもプラットフォームのシステム開発や、サービスを構成する商品回収や修繕などの仕組みは、資本業務提携先のパートナー企業に委託して進めてきました。今後は商品のラインナップを横展開したりして、製造業の方が「機械を売ろう・買おうと思ったらエクイップ」と思ってくれるようになると嬉しいですね。また将来的には日本から海外への輸出もできるよう、バイヤーさんを多く抱えている企業とのパートナーシップも組んでいます。そのうち日本に限らず他国間での取引も扱えるようなプラットフォームに成長させたいです。
今後のサービスについては自動化を追求していこうと考えています。出品時に機器の写真を掲載するとプレート番号を読み込んで正確に対象製品が表示されるようにしたり、購入時も搬送・輸出・配送まで自動で手配されるようにと利便性を高め進化させていきたいです。
ー松本様、貴重なお話をありがとうございました。
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