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コミュニティサイト運営の心得(基礎編)

こんにちは!アディッシュ株式会社の再考アラートサービス「matte」を担当してます岩佐です。

私は以前まではモニタリング事業部に所属し、多くのネットコミュニティ運営会社様のサポートをしておりました。そんな中での気づきを「コミュニティサイト運営の心得」として取りまとめ、今回は説明していきます。

※コミュニティサイトとは、SNS、掲示板サイト、レビューサイト、Q&Aサイト、マッチングサイト、動画配信サービスなどネット上のコミュニケーションの場を指します。

私たちの考え

私たちは、インターネットやソーシャルメディアなどの情報の領域で発生する課題を解決し、健全で心地よい”居場所”となるようなデジタル社会を目指しています。

モニタリング事業は、SNSという言葉が生まれる前のコミュニティサイトと呼ばれていた2007年に、出会い系犯罪などが多く発生し社会問題となり、この問題を解決したいという思いから始めました。また、2020年には、誹謗中傷問題が顕著だったこともあり、誹謗中傷対策の1つとしてSNS等へ投稿する前に内容再考の機会を促すAI検知サービス「matte(マッテ)」を提供しています。

ネットコミュニティのトラブルや違反は”ゼロ”になりません。ただ、トラブル数や違反数は減らすことができるだろうし、違反ユーザーを減らすことはできると考えています。

ユーザーに様々な方々がいらっしゃいます。
”ユーザーの行動変容”を紐解く上では、法学者ローレンス・レッシグ氏が論じた「4つの制約要素」という考え方が捉えやすいと思いますのでご紹介したいと思います。

人の行為を制約する要素(4つの制約要素)

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「規制」とはなにか?「自由」とはなにか?誰が誰のために規制をするのか?そのときの責任は?など、まだネット規制の現実味がないところで、その実現性を議論し、そのあるべき姿「民主的な価値を守るため、コードによるネット規制に不完全な部分を設けろ」という主張
CODE VERSION2.0「BOOK」データベースより

人の行為を制約する要素(法、アーキテクチャー、市場、規範)はローレンス・レッシグ著「CODE」「CODE VERSION2.0」で記されています。その4つの制約要素をご紹介します。

◆法
取締りと刑罰によって行動を制約する
(ゴミのポイ捨てを減らしたい場合:ある国では罰金が課せられるような法律がある)

◆アーキテクチャー
仕組みを変え、ある選択肢を選びやすくする(ゴミのポイ捨てを減らしたい場合:ゴミ箱の設置。そのゴミ箱さえも工夫してバスケットゴールに似せた仕様にすることでゴミ箱に捨てることを楽しめるような設計をしているものもある)

◆市場
課金や補助金などで価格を上げさせて行動を誘導する
(ゴミのポイ捨てを減らしたい場合:ゴミを持ち込むと重量に合わせてインセンティブがもらえる)

◆規範
道徳を社会の会員に教え込んで行動を制約する
(ゴミのポイ捨てを減らしたい場合:日本で定着しているように”よくないこと”を教育する、注意し合う)

コミュニティサイトの健全化に向けての取り組み図

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コミュニティサイトは、1つの小さな”社会”と捉えることができます。
そんなコミュニティサイトについて”健全化”を目的とした取り組みを、「4つの制約要素」を用いて紐解くと下記のようになります。

◆法
コミュニティサイトにおける法とは、利用規約(ガイドライン)のことを指す。利用規約は、法律と同様に抽象的に書き記す。そのため、実際違反か否かについては、利用規約に紐づいた「監視基準」を作成する場合が多い。監視基準は、誰が判別しても結果が変わらないように具体的に記す。書き記していない事案が発生した場合、監視基準を適宜変更し、サイト方針に沿って最適化していく。実際のオペレーションは、動的監視(人的処置)と静的監視(機械的処理)がある。

◆アーキテクチャー
コミュニティサイトにおけるアーキテクチャーは「UI/UX」のことを指す。
アカウント制限、投稿制限、警告、通知など違反しないような構造を作り、ユーザーが違反する/違反し続けることを防止するような仕組みを作る。ユーザーにとって不快に思わない仕様にするため、普段から慣れ親しんだ大手プラットフォームや流行りサイトの仕様を模倣する場合が多い。

◆市場
コミュニティサイトにおける市場は、ビジネスモデルのことを指す。
サブスクリプション(サブスク)や課金などサイト運営社にとって重要なビジネス設計になる。課金と無課金の行動制限、スタンダードプランとプレミアムプランでの行動制限など課金に応じたランク分けを行い、サイト内の振るまいに制限をかける。

◆規範
コミュニティサイトにおける”規範”とは、倫理・道徳などコミュニティ内で当たり前だと思われていることを指す。成熟したサイトでは、熟練ユーザーが新規ユーザーに対して間違いを指摘したり、悪意のあるユーザーに対して通報や問い合わせを講じたり一種の自衛団が誕生することが多い。サイト運営社にとって、このような”文化”を醸成できることは非常に大事である。そのためにサイト立ち上げフェーズでは初期ユーザーの育成、拡大フェーズには新規ユーザーとの立ち振る舞いなど検討する必要がある。

昨今「誹謗中傷投稿、誹謗中傷の加害者・被害者への対応」について検討されている企業が多く見られます。
・違反基準を厳しくして、投稿の削除あるいはアカウントBAN(アカウントの剥奪、利用停止処置)の対応を強化していくのか
・仕様により誹謗中傷をさせない、見せないようにするのか
(アカウントブロック機能、再考アラート機能、投稿ミュート機能 等)
・無課金ユーザーには投稿制限をかけるのか
・啓蒙活動を盛んに実施するのか

1つの取り組み次第で、ユーザーのアクティブ率、離脱率にダイレクトに影響してきます。そのため、慎重な判断が必要です。
今回は、上記のようにまとめましたが、
もし、「こうした方がいい!」「これは違うと思う!」などご意見や疑問点などございましたら、是非ご連絡ください。居心地良い空間に向けた方法を一緒に考えていきましょう。

コミュニティサイト向けのサポートサービスの簡易紹介

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少しばかり、アディッシュのサービスをご紹介いたします。
コミュニティサイト運営会社向けに下記のようなサービスを展開し、サービス健全化に向けた取り組みをサポートさせていただいています。

インターネットモニタリング
投稿やアカウントの有人監視業務を代行

・PDCAを高速に回した高品質なオペレーション業務
・サービスフェーズや属性に合わせた利用規約や監視基準のご提案

Social APP Support
ユーザーからの問い合わせ対応を代行
・カスタマーサクセス/サポート
・サイトユーザー1人1人に寄り添いサポート

matte
投稿再考アラートAIサービス
・トラブル予防の誹謗中傷対策
・やらかしユーザーへの啓蒙活動、サービス文化の醸成サポート

その他
広告審査・記事審査、不正決済モニタリング、ソーシャルリスニング
(風評対策、炎上対策)、アノテーション業務、SNS運用など幅広くサポートしております。

サービス立ち上げ前後関わらず、お困り事がございましたら、お気軽にご相談ください。

オススメ書籍

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・ローレンス・レッシグ著「CODE VERSION2.0」
・松尾陽著「アーキテクチャと法―法学のアーキテクチュアルな転回?」
・雨宮美季ら著「良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方」


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